「成長のラーニングカーブが急激に右上がりになる瞬間があります。クリティカルパスを経過した後の自分の成長ぶりが、最も刺激的であり面白い」
こう語る柴田健一ベスタグ社長は自分の能力を高める仕事をしたいという姿勢を貫き新境地に挑んできた。
大学でスペイン語を専攻したが、日本生命では投資業務に従事。プライベート・エクイティを学びたいという思いで同社を退職してハーバードに留学し、経営学をゼロから学んだ。サマーインターンで、ベンチャーキャピタル企業で働いた際にベンチャー事業をリアルに感じ切れない壁を痛感。帰国後には、自ら事業を立ち上げることになる。
「いつも、これをやりたいと明確に考えていたというわけではありません。その時々で興味を持ったことに専念してきました。自分ができること、やってきたことはやりたくない。発展性がないからです」
もちろん、自分が成長しうると思えば、好きな仕事だけにこだわるつもりはない。自分自身のライフスタイルの中にはまる仕事であれば好き、嫌いに関係なく積極的に取り組みたいという。
「自由なライフスタイルを楽しみたいのです。どこに行っても、すぐ通用する人間になりたい。あえていえば『問題解決のプロフェッショナル』というところでしょうか。そのためにも、色々な経験をしながら実績を積むことが大切だと考えています」
柴田氏が「自由なライフスタイル」をより意識するようになったのは、ハーバードビジネススクール留学がきっかけだ。クラスメイトが自分のキャリア形成を自由に、楽天的に考えていることに刺激を受けた。
「どうしても多くの日本人は、社内でのキャリアを中心に考えがちではないですか。でも、ハーバードで学ぶ彼らはキャリアチェンジやキャリアアップに対して、とても自由に考えています。逆にいえば、自分に自信があるからこそ自由に考えられるのかもしれませんが」
柴田氏は今、ベスタグで日本最大級のIT関連商品・サービス専門の検索購入サイトである「パソconeco」を運営する。ユーザーが商品、サービス内容、価格などを検索し、情報を総合的に検討しながら、数あるルートの中から最適な商品・サービスを購入できる仕組みを提供している。
「自分にとっての5年、10年後は分かりません。ただし今は、この仕事に全力を傾けたい。学んだことのすべてを今の仕事に生かさなくては意味がありませんからね。それがキャリアをリスクヘッジさせることにもなると思うのです」