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株式会社ナチュラルローソン

ヒューマンリソース部 部長

半田 滋氏

(プロフィール)

1996年、京都大学法学部を卒業後、旧海外経済協力基金(OECF、現在の国際協力銀行)に入行。中南米向け円借款の審査・運営・評価、財務省との予算折衝などを担当。在籍中に米国南カリフォルニア大学(USC)大学院に留学し、ダブルメジャー(公共経営学とアカウンティング)を取得する。2001年、ボストンコンサルティンググループに転職。実行型のプロジェクトを主体にポートフォリオ改革を担当する。04年同社を退社。同年8月企画部マネージャーを経て、現職。採用、研修、評価制度、労務管理などに携わる。31歳。

さまざまなステージを通じて自分の付加価値を磨き夢の実現に邁進したい

 特殊法人のヤングエリートが、コンサルタントを経て事業会社のマネジャーに。自然志向・健康志向をコンセプトとする「ナチュラルローソン」に在籍する半田滋氏がその人だ。

 官から民への転身が珍しい時代ではないが、本人には強い想いがある。「35歳には、街作りを手掛けたい。行政、ビジネスに携わった経験を生かし、政策を含め新しい街作りに貢献できる存在になりたい。そのためにも、さまざまなステージを通じて自分の付加価値を磨いていきたい」だからこそ、与えられた使命に対して最大限のチャレンジ精神を常に発揮してきたと自負する。

 OECFに入行して2年、革新性とアントレプレナーシップで知られる米国南カリフォルニア大学(USC)大学院に留学。太陽に恵まれた西海岸という立地と、2年間でビジネスとパブリック2つの学位を取得できるという魅力にひかれた。それでもダブルメジャーを取得するためには、週5日、1日6時間以上もの授業を受講しなければならない。すべての授業で課題が課せられるだけに、連日遅くまで学校に残り勉強に励んだ。さらに、USCはチームワークが特色とされており、クラスメートと明け方まで議論することも多かった。

 大学院にはアジア系を中心に20近い国々からの留学生がいた。彼らと時にはワインを傾けながら、夜な夜な将来のキャリア像を語り合うこともあった。「とにかく2年間楽しくて最高でした。もちろん、これほど勉強したことはないというくらいがんばった」と半田氏は当時を振り返る。

 帰国後、ビジネススクールで修得したアカウンティングの知識を生かし財務省との予算折衝を担当したが、行政の仕組みを理解するに連れて、「もっとビジネス的な視点を身に付けなければ、社会を動かすリーダーになれない」と意識するようになった。「あらゆる業種に携わることができ、経営に近いところで自分の意見が言えるポジションに就きたい」とコンサルティングファームへと転職した。

 「スマートな仕事かと思ったが、予想以上に泥くさい部分が多かった。だが、メンバーのプロフェッショナリズムを見て驚愕した。『最後までやり抜く』強さ。自分の付加価値だと妥協しないスタンス。一緒に働いていて、思わず熱いものが伝わってきた。自分もビジネスのノウハウ、スキルを徹底して学ばなくては」。コンサルタントは長くても3年というタイムミリットを設定。その期間、全力で仕事に没頭することにした。

 設定したタイミングが近づくに連れ、「次はもっと消費者、ユーザーに近いポジションに立って、新しいライフスタイルや価値観を提案する実業に携わりたい」という思いが募ってきた。選択したのは、健康生活を応援するコンビニ「ナチュラルローソン」。30年前コンビニが“24時間”のライフスタイルを持ち込んだように、ナチュラルローソンを通じ、“食”に対する新たなライフスタイルの提案を目指す。ローソンの実験展開から立ち上がった新しい会社だ。ポストはヒューマンリソース部長。

 「共に働くメンバーがお客様へ付加価値を提供するという目標に向かい、楽しく、かつ厳しく働く環境を作りたい。そして、熱心に働く社員を、どこに行っても戦えるような人材に育て上げたい。コンサルタントととして通用する豊かな知識、使命感にあふれる人材とを輩出したい」と意気込んでいる。

 「街作りには、人作りが欠かせない。そして、それを支える環境作り。個人が自律していればこそ、自立した社会が実現できる」と半田氏は確信する。それだけに、今度のステージでは「環境を作り、求められる人材をいかに育てていくか」という課題に真正面から挑むつもりだ。もちろん、その先には街作りという夢への挑戦があるのはいうまでもない。

今回のキーワード「熱き志」

 キャリアゴールに向け、緻密にスキルを積み上げていくクールなタイプだと想像されるかもしれないが、会って話をするとすぐに熱い志を持った青年だと気付く。「街作りのキーワードは」と尋ねると、「個人・祭り・自然」と答えてくれた。「自分が育った町内会の雰囲気が好き。個人個人も大切にするが、いざ祭りとなったら集団で結束する。競いあうことがあっても、その後はノーサイド。互いに笑顔でいられるような街を作りたい。もちろん、自然環境は守り続けなくてはならない」と添えた。

生まれ育った大阪をこよなく愛し、友人とともに21世紀の大阪を築きたいという半田氏。理想の街作りに着手するために、自分自身に必要な能力・スキルは何かを良く心得ている。

(取材・文/袖山俊夫)      

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